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2011年10月 2日 (日)

日本以外は伸びているクルーズ

業界紙によると、クルーズ最大手の米ロイヤルカリビアンとドイツの大手観光資本が共同出資したTUIクルーズという新しい会社が、欧州の造船所で9万7千トンのクルーズ船を2014年引渡しで新造すると報じられている。片やもう一方の米国クルーズの雄、カーニバルグループは、傘下のドイツ人向けクルーズ会社であるアイーダクルーズによって、三菱重工に2015年引渡しで12万5千トンの客船2隻発注を決めたと云う。欧州のクルーズ船もいよいよ本格的な競争の時代に入った事をうかがわせるのである。


これまではクルーズと云えば主にアメリカ市場のものと思われてきたが、今年の飛鳥Ⅱのワールドクルーズの際にも幾度かブログにアップした通り、ヨーロッパや中米地域でも現地の潜在需要を対象に、猛烈な勢いで市場が伸びてきている様である。現に雑誌クルーズ11月号によると、この10年の間に北米のクルーズ人口は650万人から1350万人と2倍になったのに対し、欧州は165万人から465万人と3倍近く伸びているとの事。それに対して日本のクルーズ人口は、ここ10年ほどほとんど変わらず約20万人だそうで、欧米に較べてなぜ日本人はクルーズ船に乗らないのかが、もっと観光業界の話題になってもよい様な気がする。日本と同じ様に大陸の近辺にあって周囲を海で囲まれた海洋国家イギリスでもクルーズは人気があるし、一方で最近は博多や長崎に中国人の買い物客が多数乗ったイタリア船などが頻繁に寄港するから、日本だけがクルーズ人口が伸びないという事は何か特殊な背景があるのではないだろうか。


思いつくままに考えてみると1)クルーズは「豪華な船旅」であるというがイメージが先行して、スノビッシュなもの、時間とお金のある人のものと云う認識が定着している。2)カップルで行く旅、社交が必要な旅、ドレスコードが面倒というステレオタイプの認識が持たれている。3)食事やエンターテイメント込みにしても日本船の価格が高すぎる事。4)日本の周囲の気象・海象が冬場などはクルーズ向きではなく荒れる事が多い。5)海岸や河川が全て役人や企業の管理下にあり、水辺は産業や漁業など生産の場で、船に乗って遊ぶという文化をこれまで育てて来なかった。6)航海中は退屈で揺れると思われている等と言う理由がたちどころに浮かんでくる。


まあこちらは観光業界に身をおいている訳でないから、日本人のクルーズ人口が伸びようが減ろうが一向に構わないし、日本船が嫌なら海外の安い船を利用するという選択肢もあるものの、親戚や友人などに「 一緒に船に乗ろうよ、クルーズは楽しいよ 」と薦めても反応が芳しくないのはちょっと寂しいものである。欧米の船に乗るとベランダ付きの良いキャビンと、廊下を挟んだ目の前の安いインサイドキャビンを同時に取り、昼は海が見える部屋で皆が集い、夜は窓がないインサイドキャビンで寝るなど部屋を合理的に使い分けているファミリーやグループが居て、うまい事考えるものだと感心するが、いつの日か日本にもそういう「普通のクルーズ」の時代がくるのだろうか?


初代・飛鳥もドイツ人向けのアマデアとして欧州で活躍中
20111002

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