船の科学館、閉館
東京のお台場地区、品川区東八潮にある船の科学館が9月末日を以って閉館するというので、これが最後と名残りを惜しみつつ、この連休に訪問した。ここは今まで何回か来た事があるが、37年間の展示にピリオドを打つと云う事で、入場料もいつもの700円が200円と安くなり、多くの家族連れで賑わっていたのだった。船の科学館は旧日本船舶振興会(現日本財団)が中心になって建設されたものだが、昭和40年代の”行け行けドンドン”時代ならではの壮大な白亜の建物で、館内には大型ディーゼルエンジンの実物大模型や最新の航海設備を備えたオブザベーションデッキ(操舵室)など様々な展示物があり、屋外にも砕氷船「宗谷」や旧青函連絡船「羊蹄丸」が保存され、いつ行っても新たな発見と知識が得られた楽しい場所であった。
今回は特別企画として設置された「日本の海」のコーナーが興味深く、尖閣諸島や竹島問題の経緯、日本の排他的経済水域(200マイル)の資源利用など、近年話題のトピックスが映像も交えて多様な角度からディスプレイされていた。この種の博物館の常で、館内は子供達が相変わらず駆け回っているのだが、「日本の海」のコーナーだけは中年以降の男性が熱心に展示を見ていて、この問題の注目度が高い事が伺え時宜を得た企画の設定にも好感が持てた。この「船の科学館」は、とかく様々な噂や憶測に包まれた故笹川氏の功績で出来た施設とかで、前庭に置かれる「老いた老人をおう笹川像」などは鼻白む思いでとても好きにはなれないが、これまでの財団の功績はそれとは別に賞賛されるべきものだと感じた。
それにしても思うのは、列車の休止にしろ、博物館や美術館の閉館にしろ、いつもこんなに人が入っていれば閉館する必要がないのであって、閉館や運転中止を惜しむくらいなら日頃ちょっとでも足を運んだり乗車したらどうかと問いたいものである。公営・私営を問わず各地にある博物館などは「 みなきゃ損 !」とでも云うばかりの立派な展示と工夫が成されており、それらを安い料金でゆったり見学できるから、歳をとって時間に余裕ができたら、平日の昼間にでも、せいぜいこれらの展示を見る事を皆に薦めたい。それにしてもここが閉館されると、新交通「ゆりかもめ」の「船の科学館」と云う駅名は来月からどうなるのだろうか?
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コメント
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それって昔北朝鮮の撃沈した船を展示していたところでしたっけ?閉館とは残念です。
投稿: MT | 2011年9月29日 (木) 16時59分
TMさん
そう確か少し前に撃沈した北朝鮮の舟を特別展示していました。閉館は残念ですが、またいつの日か「大人の為の船の博物館」がどこかに出来る事を期待しています。
投稿: バルクキャリアー | 2011年9月30日 (金) 00時04分