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2011年9月 8日 (木)

嗚呼パスワード

昨晩の事である。携帯にメールが入るので「こんな時間に何だろう?」とそれを開くと、再就職先の会社が委託している従業員安否確認システムから、「北海道沖で震度5弱の地震があったので、念のため安否を連絡せよ」とのメッセージである。そう云えば入社日早々に、そのシステム案内メールがデスクのパソコンに来ていたから、連絡先として自分の携帯アドレスをインプットしていた事を思い出した。あわててそういう連絡に慣れている妻を叩きおこし「これはどうやって返事するのだ」と夜中に三拝九拝して返事を打ってもらう。


と思うと、会社では「ブラックベリーをお渡しするので、システムの部屋に来て下さい」と呼び出される。「 あのな~、サラリーマンはな~、通勤の往復に財布と定期以外持たないからサラリーマンなんだ、そんなもの誰が持つか 」と思わず喉まで声が出掛かるが、そこはアラカン契約社員の弱み、すごすごとオタクっぽい社員がたむろするシステム関連の部屋に出向くと、若いあんちゃんが「こんなの簡単で全部わかっているでしょうが」とでも言いたげな訳のわからない説明をする。


という具合で9月1日に再就職して約1週間が過ぎた。業務内容などは目をつむっても出来ると豪語したいところだが、現場に復帰して驚くのはここ10年のIT化の進行。出勤してパソコンの電源を入れると社員IDやらパスワードを入れなくてはならない。生来このテのもの、例えばキャッシュカードの暗証番号を入れる際にも気の小さい私などはドキドキするくらいであるから、朝一番から次々とスクリーンに登場する暗証にウンザリである。会社のパソコンなど、誰かが私に成りすまして何をしようと大した事もないのに、この仰々しさは一体何なのかと辟易とする。


この間は外出する際に、携帯番号を書いた付箋を自分の机に貼り、隣の若い女性に「 ここに番号書いておくから何かあったらよろしく 」と伝えると、「 それだったらワークフローシステムの然るべき場所に緊急連絡先を登録する場所があるからそこにも入れておいて下さい 」と言う。「出かけてくるぞ~」と大声で叫び、携帯の番号だけを大きく表示した方が簡単で、皆にわかり易いだろうと思いつつ、そこは新しい職場で変なオジサンとして嫌われたくない一心で、子羊の様に職場のルールに従う小心者なのである。


この話を妻にすると、どうやら私はPCやらシステム化など、「ヒト」・「肉声」・「対面」を介さない情報の流れに異常なまでの拒絶反応を示す傾向があると指摘される。「顔を見て隣の人に携帯番号を伝える方が確実じゃないか」と先の件を主張すると、最近の企業は経費削減で極限にまで人を減らしているため、PCが出来ることはPCにやらせるということらしい。しかし私の元の同期は、部長時代に部内連絡にパソコンでメールを使う事を禁止し、すべて大声を出すかミーティングすべしと命じていた。その他、未だに銀行の現金の出し入れは、通帳とハンコで窓口でしかやらないという友人もいる位で、ITを信じない人間はまだまだ社会に多いのである。IT化や業務効率化はサービスをプロバイドする側には便利なものだろうが、それを利用する側には余計な手間とストレスを与え、実は社会全体では本当に効率が促進されているのかは、甚だ疑問であるというのが、ITには反動的ないささか時代遅れの私の持論なのである。

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コメント

はじめまして。奥様のブログとともにいつも楽しく拝読しております。
世の中にはお金持ちがいるなあ、と羨ましく思っておりますが、社会復帰されてたった一週間で普通のサラリーマンの愚痴のようになり、一気に親近感が湧いてしまいました。
いちにちがながーい、とは私も同感です。 また、「平日は長く、休日は短い」とも「一日は長く、一年は短い」とも感じております。

AZUR誌上でお二人の姿を拝見しました。一組だけスポーツウエアなので「あー、この二人だな」とすぐにわかりました。

k.k様

ブログにコメントありがとうございました。私はブログでも述べている様に永年普通のサラリーマンでした。夫婦の退職金を充当しそろそろ車を買い換えたい処でしたが「思い出はプライス・レス」と考え、思い切ってワールド・クルーズに乗船しました。我々の健康や周囲の環境が、今は特に問題なかった事がクルーズ参加を決断した要因で、そんな廻り合わせに多いに感謝しております。

しかしこの先悠々自適ともいかず、また働き始めたものです。ただ長く遊んでいた者がすぐアジャストできる程社会は甘くない、という事を改めて感じて、象徴的な出来事をアップしてみました。もしご共感頂けるなら嬉しいです。

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