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2011年8月26日 (金)

アーミテージ・ナイ対談

今朝の読売新聞によると、米国国防総省が24日発表した「中国の軍事・安全保障に関する年次報告書」では、中国の空母保有やステルス戦闘機開発、サイバー攻撃やミサイル戦略について、地域の安全保障に関する重大脅威として米国は強い警戒感を示しているそうである。一方、尖閣諸島や南シナ海での傍若無人な中国の振る舞いを見るにつけ、わが国を含む周辺諸国は、いよいよ彼らの意図が明確になったと感じ、安閑としていられなくなっている。

そんな折、昨年12月の発刊直後に読んだ文春新書「 日米同盟 VS 中国・北朝鮮」(アーミテージ・ナイ緊急提言)を、今回の旅行中に再度ゆっくり読んでみた。共和党のリチャード・アーミテージと民主党のジョセフ・ナイの2人の米国を代表する親日家、それに日本のジャーナリスト春原 剛の三氏の対談は、旧ブログでアップした通りだが、時宜を得たその論評に納得する箇所が多かった。再読してみて気が付くままに、同書のポイントを列挙してみる。


普天間問題
1.普天間問題は基地移設に伴う地元・建設業者の取り分と、その「おこぼれ」に群がる政治家や業者の「利権」が優れて問題の本質である。
2.沖縄の戦略的な意味は「そこに米国の軍人(若者)」が居る事によって担保されている。いわば米国人が人質となっているのが沖縄だが、この人質効果は旧西ベルリンに僅かな米軍が居ただけでソ連が侵入できなかった事でも明らか。民主党はその事を当初わかっていなかった。
3.日本に基地がある事が、すべてのアジア地域の安全保障を担保している。

20110826

東アジア共同体
1.東アジアの安定には日・米・中の関係が大事だが、あくまでその関係は正三角ではない。日・米が近く中国が離れた二等辺三角型である。米国や豪州などを抜いた東アジアの共同体構想は、中国に席捲され中華共栄圏を作るだけである。

中国問題
1.世界第2位の経済大国になった中国は、環境問題を始めとする世界共通の問題にステーク・ホールダーとして参加する意思がない。
2.中国のサイバー攻撃や攻撃的な宇宙開発を米国は許さない。
3.中国は西太平洋や南シナ海の制空・制海権を得ようとしているが、「けんか越しの展開にはそれなりの報復が伴う」という態度を日米を始め周辺国がとる事が大事。
4.中国の軍事台頭には、日米同盟を強固にする事が周辺国からも求められている。

日米安全保障条約
1.日米安保が安定している事は、アジア全域の安定の為に必須のものである。これは周辺諸国も完全に同意している。
2.日米安保があっても、日本が紛争に巻き込まれた際に、日本が国内を整理し自国の国益を守ろうとする強固な意志を示さなければ、米国は他の道を選ぶかもしれない。
3.国連は日本が一朝有事の際に、日本の立場を理解し日本を守ってくれるとは限らない。
4.「核の傘」は、実際の核兵器配備のほかに、極めて政治的・心理的なものが含まれる。

その他
1.経済大国であるのに核を持たない日本は世界から尊敬されている。
2.核なき世界へ、抑止力は経済や学問の交流のほか、文化とくにポップカルチャーの様なソフト・パワーも重要になってくる。


と言った処であろうか。もちろんこの本では米国から見たいささか牽強付会の論もまま見られるが、概ねまっとうな事を米国の知日家が考えている事がわかる。私個人は、日本にとって、憲法を改正して自分で国を守れる軍隊を持つ事が真の独立だと信じているが、現実問題としてそういう状況にない今、改めてわが国の立ち位置を確認する為にも、なかなか良い対談だったと思った。

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