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2011年7月 2日 (土)

海と島

飛鳥Ⅱはハワイ諸島に向かっている。クルーズでは寄港地が乗船客にとって最も興味ある場所なのは言うまでもないのだが、他に洋上にあって近くを通過して行く島々や、本船が航行する海域も興味深い。このクルーズでは海流が暖流から寒流に変わる度に、海の色や気温が変わり、海の生き物の種類が違うという自然の驚異を幾度経験しただろうか。大西洋に浮かぶ孤島セントヘレナは、スエズ運河が出来る前は、ケープタウンからヨーロッパに向かう重要な航路の中継地で、大陸からは数千キロも離れているのを知った。ナポレオンが晩年幽閉された島だが、絶海に屹立する崖を見ると、こんな所に島流しされたナポレオンの傑物ぶりが却って偲ばれる。


貿易業務では最も重要な書類の一つ、船荷証券(B/L)に関する国際統一条約、ヘーグ・ビスビー・ルールでその名を知られるビスビーは、バルト海のスエーデン沖に浮かぶゴドランド島の町である。こんな事も、今回のクルーズで飛鳥Ⅱが島のごく近くを航行した事で知ったのである。そう言えばロンドンにある世界で初めての海運集会所もバルチック・エクスチェンジと云うし、現在では海運の市況を表す重要な指標で日経新聞などでも引き合いに出される、バルチック指数もバルト海が語源である。国際海運における様々な用語は、この水域から発祥しているものが多いのだが、バルト海を航行して見ると、ここは昔からヨーロッパの重要な水路であり、歴史的にこの海域は日本の瀬戸内海の様な役割を果たしてきた事が実感できる。


第二次大戦で連合軍の輸送船を襲うUボートと英国海軍の間で激戦が行われたノルウエイのロホーテン諸島も、今回ノールカップへの航行途中でその場所を改めて認識した所だ。ノールカップの展望台には、この海域で行われた第二次大戦の英独海戦の経緯が詳しく展示されていたが、北の地ながら不凍の海の戦略的な意味を考えると、ロシアが日本の北方領土を手放さない理由も理解できようというものだ。今は美しくもひっそりと静まるノルウエイのフィヨルドに、かつてはナチスドイツの戦艦やUボートが、連合軍輸送船団を襲おうと潜むんでいた事を思うと不思議な感じに捉われる。


先日は太平洋に面するメキシコのセドロス島の近くを通過した。日本の工業塩や食塩の産地の一つで、「伯方島の塩」などと云って売られている塩は、セドロス島やオーストラリアから広島の三ツ子島に貨物船で運ばれ、国内で二次輸送されたものが原料である。我々の食生活や産業に欠かせない場所であるが、そんな島の沖を通過すると、我々の生活は海上貿易に広く依存していて、平和な海がいかに大事なのかと考えさせられる。中学や高校で使う様な1600円の基本地図帳を持参したのだが、しばしばその地図を開いて世界の地理を見ていると、これまで耳にしたが一体どこにあるものなのか実感の湧かなかった場所も、クルーズを通じて改めてその存在を確認できるのだ。


写真はノールカップの英独海戦の展示とノールカップ沖
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20110701

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コメント

ノルウェーはその港があったので、第2時大戦で中立出来なかったようです。英独どちらも欲しかった港、僕も見てみたいですね。
メキシコの塩、前に舐めたことがありましたが、角砂糖みたいな形していたこと覚えています。日本の商社が頑張っているのです。

ではよい旅を続けて下さい。

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