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2011年7月24日 (日)

飛鳥Ⅱ・村上和雄博士の講演会

長期クルーズでは、社交ダンスやコントラクトブリッジ教室などの習い事の他に、各界の著名人による講演会が船内で催されるので、それを聞くのもクルーズの楽しみの一つである。今回の飛鳥ⅡのワールドクルーズではNHKの元特派員や有名アナウンサー、元スポーツ選手や考古学の研究家、その他女性宇宙飛行士の夫や青年海外協力隊員、管理栄養士などその道の専門家が区間区間で乗船して船内で講演を行い興味ある話をしてくれた。その中で私にとって印象深かったのが、フランスのルーアンからニューヨークまで乗船された遺伝子の世界的な権威、村上和雄博士の3回にわたる講演であった。


村上博士は高血圧を引き起こすと云われる酵素レニンの遺伝子情報を解明して、現在日本人で最もノーベル賞に近いと云われている分子生物学者なのだそうだが、船内講演では遺伝子の働きやその研究経緯を語る事はもとより、真理の探究を進める者だけが達するであろう人生観やその哲学などを披露してくれた。村上博士の話では人には60兆もの細胞があり、そのすべての細胞が30億個の同じ遺伝子情報を共有しているそうである。その中で胃の細胞の遺伝子が胃として働きをし、髭の細胞が髭として機能するために、それぞれの遺伝子にスイッチがあり、それぞれに固有な働きをする様に仕組まれていると云う。クローン羊などの例でも解る様に、人類はその遺伝子の情報を解読する研究は進めているものの、研究すればすればするほど、それは人知を超えた設計図(サムシング・グレートと博士は名づけている)に依って作られ、機能している事に驚くと博士は述べる。


そして人の遺伝子はその持っている機能の一部しか使っていないが、環境やストレスに対処するやり方によって、良い遺伝子のスイッチをオンにする事ができ、その人の能力はもっと発揮する事ができると云う。そのためには常に積極的で楽観的な考えを持ち、笑いやユーモアに満ちた生活態度をとる事が良いと云うが、この辺りの話となると講演内容もいささか宗教的な感じで、遺伝子が世の中ほとんどの事象の決定因子である様にも聞こえる。しかし博士の話がさすが科学者のものだと納得させられるのは、そういった考えはあくまで仮説であって、まだ科学的には一部しか立証されていないと言明し、仮定や推論・観察と結論を峻別する科学的なアプローチから議論を展開している点であって、その内容にとても興味引かれる面白い講演であった。

さて新幹線や飛行機でも、我々は時々テレビなどで顔を見知っている人たちと乗り合わせる事があるのだが、それはたかだか数時間で、かつプライベートの場面なので、それらの高名な人に話しかける事もない。しかしクルーズの船内では、有名人も乗客も一つの船の中で何日も生活を共にするのである。講演する著名人もコンサートを催す芸能人も、一旦ステージから降りれば同じ風呂に入り、同じ飯を食べ、身近に挨拶したり話かけたりする「 同じ舟に乗り合わせた友人 」になる。食事をしながら、或いはコーヒーを飲みながら、船内のあちこちで、その道の有名な人と一般乗客の会話が弾んでいるのを見ると、長期クルーズは面白いものだとあらためて認識したのだった。


村上博士の講演会の様子
20110724

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