久しぶりの満腹
飛鳥Ⅱは5月14日早朝フランスのル・アーブルを左舷にみながらセーヌ川の河口に入った。ここから目的地ルーアンまでの6時間は、セーヌ川が大きく蛇行を繰り返す中を航行するリバークルーズとなる。両岸に連なる森や畑、次々に現れるお伽の国の様な集落を見ながら川を遡上すると、ひさしぶりに小鳥達の鳴き声が聞こえ、おもわず北島三郎風に 「♪はるばる来たぜフランスへ、逆巻く波を乗り越えて~ 」と口ずさみたくなってくる。ルーアンに近づいてくると、川辺には化学工場などに混じって本格的な穀物の船積み設備(グレイン・エレベーター)をいくつか見る事ができ、ここフランスは農業大国である事を思い出す。
今回のスケジュールでは、飛鳥はオーバーナイトでルーアンの岸壁に停泊するが、我々は特に予定もない。午後2時すぎに着岸すると45日ぶりに土の上で走れるとあって、まずはジョギングウエアーに着替え町を見学しに走り出す事とする。コンパクトな町なので岸壁から遠く見えるノートルダム大聖堂や市街地の中心を走ってまわり、今晩繰り出す予定のフランス料理店の「あたり」をつけておこうという魂胆である。とにかく西欧先進国は安全の面で、いきなり港からジョギングに町に出かけられると云うのが良い。舷門を飛び出せば、毎日揺れる船上の木のデッキやフィトネスマシンで走るのに疲れた足の筋肉には、コンクリート路面がかえって新鮮で走り易く感じる。
という事で、ノートルダム寺院やジャンヌ・ダルク広場はさくっと走ってまわり、美味しそうなフランス料理がありそうな繁華街を下見し、一旦本船に戻ったのだった。で、本船の大浴場で一風呂浴びて夜七時に入った店は、市のツーリストビューローのマネージャーが個人的にそっと教えてくれた”ラ・クロンヌ”というフレンチ・レストラン。なにしろ1345年創業で、フランスでも一番古いレストランというから半端ではない。
シーフードやフォアグラのスターターに、この地方名産の林檎から蒸留されたカルバドス酒をかけた食間のシャーベット、それにステーキなどとにかく大変なボリューム。上品な雰囲気の中で、味付けもしっかりした料理を食べると、これまでの船の食事が薄味であまりにも少量であった事を改めて実感したのだった。高齢者が多い長期航海には、この薄味・少量の食事が良いのだろうが、たまにはしっかりした味付けのボリュームある料理を食べたくなってくるのである。
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