一期一会
インド洋に浮かぶ島、モーリシャスのポート・ルイスに到着、八日ぶりの陸地である。午前中はキュール・ピップという高原の町へのツアー、午後はポート・ルイスの町をぶらぶら散歩した。専門的になるが、この港のライン・ハンドリングは入港時にはスプリングラインをポンツーン桟橋の下に引っ掛けるわ、出港時には出港予定時間に来ないわで、万事これが南洋流なのかと感じる。日本の様に予定通り物事が運ぶと云う事は、世界でも珍しい文化だと云わねばならないのだろう。
さてせっかちな私は、クルーズ船の上陸時間などは門限が気になってリミット1時間以上前に帰船するのが常だが、今回はモーリシャスのウオーターフロントにそよ吹く風の気持ち良さに、珍しく帰船の制限時間ぎりぎりに船に帰った。船へのシャトルバス集合場所でバスにも乗らず名残りを惜しみながら、「 もう二度とここには来ないだろうから、少しでも長く留まっていたいね 」と妻と話していると、傍らから「 そんな事言わないで、また来て下さい よ 」と女性の声がした。
話をすると彼女は、15年前にモーリシャスの男性と結婚しこの地に住む事になり、今回飛鳥Ⅱの入港に伴いポート・ルイスで乗客の世話役をしているのだと言う。 「ここに来た当初は本当に何もない所で、走っている車もひどい物でした 」とあっけらかんと笑う。「 モーリシャスに来る日本人はほとんどがハネムーンで、その数はあまり増えていない、とにかく日本からのアクセスが不便ですから 」「 日本のインド洋マグロ漁船も海賊の影響で、めっきり減って中国船にとって代わられました 」と説明してくれる。
我々はその会話の10分後には飛鳥Ⅱに帰り、快適な準日本の空間に戻るが、「 こんなに大勢の日本人がここを訪れたのは初めてです 」と言う彼女はクルマで15分の所に住むのだそうだ。いつも海外で思うのは、日本から渡って現地で永住する女性の強さなのだが、こんな日本から遥か離れたインド洋の島で 一人活躍している女性を見て 「 女の人はやはりたくましいものだな 」と感じたのであった。それにつけても横浜から乗船さえすれば、考えもしなかった新しいな土地へ部屋ごと連れて来てくれ、見聞を広められるわけで、クルーズとは何と楽で素晴らしいものかと改めて思うのである。
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