わが身をつねって人の痛さを知る
妻と一緒に通うダンスの初心者個人レッスンも、ジルバは何とか基礎のキが出来たらしく、先生は今日はワルツを教えて呉れると言う。いよいよワルツかと勇躍心の準備をし、先生のステップを見ると、彼は何と右足からスタートする。「あれ?社交ダンスで男はすべて左からではないですか?」と思っていると、「最初の左足は捨て足で」などとわからない説明で、クルーズ船でかじったダンスとは違った難しいステップを先生が踊り、「これを今日はやりましょう」と言う。「アチャー、こんなに難しいステップを始めからやるのですか?」と聞くと、「貴方が今まで習ったのは、スクエアワルツと言って、小さいスペースで四角く踊るものでこちらを覚えた方が楽しいです」などと容赦ない。
準備して行った予習箇所がまるで外れた受験生の様な気持ちで、冷や汗をかきつつ仕方なしに先生の指示通りステップを踏むのだが、左足を続けてステップしたりスキップの様な処もあって、これがなかなか難しい。先生は「ヘジテーション何とか」とか「これがシャッセです」などと言うのだが、そんな事より日常しないダンスの動きを覚えるのに精一杯。「そう、上手です、それでいいです」などとおだてられながら部分部分をなんとか覚えると、「さあ最初から通してやってみましょう」という事になるのだが、そうすると最初に習ったステップを忘れていたりで、もう頭が真っ白である。
子供の頃、鉄棒など体育の教師が教えてくれる事は大体人より早くできたのだが、社交ダンスでぎこちなく”たたら”を踏んでばかりいると、運動音痴の子供はきっとこんな試練に堪えながら大人になったのだろうかと、遅まきながら昔の事を思い出す。自分ができないという経験をして、人間は初めて人の痛みが分かるのかと、妙な処で勉強した気にさえなる単純な私である。やっとの思いで今日のレッスンを切り抜け、日課のジョギングをした後、妻と今日習ったダンスを駐車場で復習すると、ステップがジョギングリズムの2拍子ばかりになって、一向に3拍子のワルツステップにならない苦闘の日であった。
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