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2010年9月21日 (火)

ウッドコーンスピーカー

大学生の頃にアルバイトで貯めたお金をすべてつぎ込んで、コンポーネントステレオを買った。専門誌を読んでは機器同士の相性だとか、ワウ・フラッター率だとか、S/N比がどうだなど、今から思えばそれで訳が分ってたのか、聞き分ける耳があったのかはなはだ怪しいものだが、まだオーディオなどという言葉が世間に広まる前に、それなりに音に凝ってステレオの各機器を買い集めたのであった。まだFM東京が東海大学FM実験放送局などと云っていた時代の事である。それが社会人になってからはゆっくり音楽を聴くという時間もなくなり、いつの間にかメーカーお仕着せの安いミニコンポなどで満足する様になって、オーディオなどに興味も失っていた。

しかし最近は家でゆっくり音楽を聞く時間も出来て、先日アップした様に古いレコードを引っ張り出してみようという事になった。で、秋葉原の電気店を数箇所廻ってみたところ、どこも最近発売したビクターのウッドコーンスピーカーを使ったミニコンポセットを薦める。高級スピーカーと遜色ない音がでるというので、試聴コーナーでいくつかのスピーカーと聞き比べたのだが、もう錆付いた私の耳ではどれほど違うのかがよくわからない。よほどメーカーの販売促進奨励策があるのかといぶかりながらも、特段電器店の薦めを断るほどのものはないのと、品の良いデザインが気にいって、ウッドコーンスピーカーつきのビクターのミニコンポとオーディオテクニカ社のレコードプレーヤーを8万円ばかりで購入した。

値段もこんなだし、まあまともに音が鳴れば良い位に思って、ミニコンポやプレーヤーを接続して古いレコードを久しぶりに聴くと、これが何とも言えない良い響きなのにびっくりしてしまった。これまでスピーカーは大きくなくては音が悪いと思いこんでいたのだが、ビクターが研究を重ねて開発したという木製の小さなフルレンジ・スピーカーからは、弦楽器の響きが厚く低音も良く出ている。紙の様なこもった感じもないしシャープでとんがった感じもなくて、ナチュラルな音がスピーカーから流れ、目をつぶると前にオーケストラがいる様である。昔は何万円ものカートリッジをあれこれ交換し、30センチのウーファーが欲しいだとか何とか言いながら良い音を求めていたのが、いまや8万円でこんなに妙なる調べをレコードから再現してくれるとは技術も進歩したものである。こうなると若い頃の情熱が蘇ってきて、ウッドコーンスピーカーのもっと上級機種が欲しくなってくるから、人間の欲望はおそろしいものだと感じている。

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