愚陀仏庵が崩壊
今日の東京は青空が見えて早くも真夏の暑さを感じる日だったが、梅雨の末期は西日本のあちこちから集中豪雨による災害のニュースが伝えられている。一昨日広島の呉から来た取引先は、会社のそばの川があふれてしまったそうで、こんな事は生まれて初めてだと言っていた。広島の対岸に位置する松山も大雨続きで、7月12日には、かつて夏目漱石が下宿に使っていたと云う観光名所の家が土砂崩れで全壊してしまった。
この下宿家は漱石の俳号の愚陀仏をとって愚陀仏庵と云い、もともとは市内にあったが戦災で焼けた後、1982年に松山城の山麓に再建されたものである。我々夫婦はつい3週間前の「坂の上の雲」旅行の際に愚陀仏庵を訪れたばかりであったから、これが全壊したと云うニュースを聞いてとても驚いた。6月末にちょうど我々が訪れた日も梅雨空で、うっそうとした城山の森に再建された庵は、訪れる人も少なく忍び寄る夕暮れの闇の中にひっそりと佇んでいた。しかし一階に漱石が下宿し、二階に子規が居候していたとの案内を読み、木々から滴り落ちる雨音を感じていると、ありし日の二人の会話が聞こえて来る様で、文学などにあまり興味がない私でも心に残る建物であった。
愚陀仏庵を取り囲む、樹齢何百年かの城山のみどりは、しっとりと落ちついた空気を醸成して、災害が起きる様な場所とは想像もつかなかったが、それが今回の雨でひとたまりも無く崩壊したと聞くと自然の猛威には驚くばかりである。梅雨明けも間近のようだが早く夏空が到来し、豪雨の被害がこれ以上列島に広がらない様になってほしいものだ。
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