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2010年7月 5日 (月)

トロリーコンタクター

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松山の坊ちゃん列車である。1887年 (明治20年) に四国初の鉄道として三津ー松山間に軽便鉄道を開設した伊予鉄道は、かつて「マッチ箱の様な汽車」と夏目漱石の 「坊ちゃん」 に描かれたSL列車を走らせていた。その伊予鉄道は2001年に当時の列車のレプリカを松山市内線に登場させ、坊ちゃん列車として観光名物にしたのだが、機関車は外見はSLの形をしているものの、実はディーゼル動力なのである。坊ちゃん列車は、往時の車両を可能な限り忠実に再現したそうだが、さすがに市内で煙や火の粉を撒き散らして走行するわけにはいかず、中身はディーゼルになったと車掌が説明する。

この坊ちゃん列車の車掌、松山市駅から道後温泉までの短い運転区間に検札や観光案内のほか、大きな交差点にくると客車のデッキで、屋根から伸びる白いロープを手繰りよせたり離したりの作業でいそがしい。何をしているのか尋ねると、交差点のポイント切り替えの際に、客車の屋根にあるパンタグラフの様なものを操作しているのだ、と若い車掌はにこやかに答えてくれる。そういえば昔の路面電車の交差点には、火の見やぐらの様な信号所があって、掛員が電車の行き先表示を見ながらポイント操作をしていたものだが、今の路面電車はどうやって交差点のポイントを切り替えているのだろうか?

まさかコンピューター制御のCTC (列車集中制御装置) とか、無線を使って電車識別をしているわけでもない様だし、ひっきりなしにやってくる市内電車を判別してポイントを切り換え、正しい目的地に向かわせる技術は、考えてみれば不思議なものだ。実は、その答えがトロリーコンタクターといわれる架線につけられたスイッチだと云う。架線 (トロリー) につけられたスイッチの様なものを電車のパンタグラフが押すとこの装置は作動するのだが、複数のスイッチを架線に沿って一定間隔あけて設置し、電車がその間を停止せず直行すればポイントは右、電車がスイッチの中間で停車して一定時間経過するとポイントは左などと反応する様になっている。車掌によると、松山市内線のT字路では2つのトロリーコンタクターの間で9秒間停車すると、ポイントが変わる設定になっているそうだ。

坊ちゃん列車は昔を再現したSL風の列車で、トロリーコンタクターを作動させるために、パンタグラフやポールを常時あげて走るわけにはいかない。苦肉の策として交差点で、車掌がデッキからビューゲル (パンタグラフの簡単なもの) 状の棒を上げて、トロリーコンタクターを作動させポイントを切り替えていたのであった。観光列車を運転するのも人知れず大変な苦労があるのだと、雨にぬれながらビューゲルを上げ下げするロープをたぐる車掌を見て思ったのだった。

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