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2010年6月26日 (土)

自主努力

参院選を前に、読売新聞(6月23日)にJAグループの提言と、農業政策に関する各政党のパネルディスカッションが大きく掲載されている。農業についてはまったく素人の私であるが、この討論を一読してみると、どうも農業関係者の主張は、私などの視座とは大きく違う様だ。

このディスカッションによると、JAも各政党も農業の食料安全保障機能や国土保全価値を基本に、所得の安定確保が実現できる様に、米や各農産物に対し政府補助を充実すべしと論点を展開している。しかし競争力がない産業が、まず行うべきコスト削減については、この討論ではほとんど触れていない事は理解に苦しむ。加えて肥料や農業資材の供給、農産物の流通に独占的にかかわるJA(農協)の見直しについても一切言及がない。どうやら国の補助金をもらう事を正当化するばかりで、肝心の産業競争力を高める事は関係者の眼中にない様に思えるのである。

米作については、給与所得を得ながら週末に高齢者だけで耕作をする兼業零細農家が、わが国の食料基盤を支えられるはずもなく、産業構造を大きく転換する事が要求されているのではないかと考える。食料の安全保障などと言いながら、大幅な減反を実施して高い米価を維持する一方、ミニマムアクセスで海外から米を輸入する農業政策などはどうみても支離滅裂に感じる。ここは民間企業の参入自由化や農地所有を促進し、規制緩和によるコスト削減と規模のメリットを追求する方向に農業政策を変える事が食糧の安全保障のために必要ではないのだろうか。加えて農協が独占的に担っている肥料などの供給や農作物の流通を抜本的に見直した上で、あらためて必要な部分は国による補助金を導入するのが筋だと思うのである。

日本航空の破綻を見るまでもなく、立ち行かなくなった産業はまずコストを下げ、従業員(従事者)を減らし(産業から退出させ)、しかる後に公的補助を要請するのが普通である。農業の特殊性ばかりを強調し、自主努力にまったく言及せず補助金の正当性ばかりを縷々解かれると、一体いつから日本人はそんなに”おもらい根性”になったのかね、と嘆きたくなってくる。その点では、小さな政府を標榜する「みんなの党」が”アジアを市場とする農業への転換””農業の競争力をつけ、農産物を聖域としないFTA推進””農業で儲かる仕組みを作る”と一番まっとうな主張を紙面では展開している様だが、「みんなの党」も外交や安全保障問題では首をかしげる主張が多く、来る参院選挙ではどこに投票しようかと、まだまだ悩みそうである。それにしても農業政策は、私の様な都市住民には魑魅魍魎の世界で、これが政治の行方に少なからぬ影響を及ぼすと思うと、なんとなくうんざりするのである。

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