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2010年3月10日 (水)

密約

米軍核兵器搭載艦の日本への一時寄港について、密約があったという有識者委員会の報告で、メディア各社は鬼の首をとった様な騒ぎ方をしているが、その報道ぶりは何とも白々しいばかりである。米国の艦船が日本に来る際に、寄港に先立って核兵器を陸揚げしたり他の艦に移し変えたりするなどと言う事を聞いた事がなかったから、私は核はこれまで当然持ち込まれていたものと思っていた。

我が国には非核三原則があるものの、外交や安全保障には秘密の部分や密約、グレーの領域があって当然だから、そんな事は関係者のみならず国民の大多数をもうすうす感づいていて、それをことさら問題にしないという事で来たのではないのか。いわば非核三原則という原則は建て前だと皆で了解していたもので、何をいまさらという気持ちである。国防・外交に関しては政府は2枚も3枚も舌を持っていてもらわなければ困るので、歴代の政府が嘘を言ってきたと取り立てて騒ぐ必要もなかろうというものである。

たしかに民主党が自画自賛するとおり、政権が変わったからこういう調査もできたのであろうが、問題はこれを明るみに出して一体どうしたいのか、という事である。鳩山政府は今後も非核三原則を貫くと言っているが、今後もし一朝有事の際、米艦が核装備をしないと言う事は到底いえないだろう。その際は核搭載船の我が国入国を民主党政府は認めないのだろうか。米国はどの艦が核を積んでいるのかなどは一切公表しないから、横須賀や佐世保の米国艦艇に海上保安庁が臨検でもするつもりなのだろうか。密約の存在をあぶり出し、片方では三原則を変えないと公言していると、政府は普天間と同じ自家撞着を起こし、日米安全保障条約の根幹を揺るがす事態に発展する可能性もある。沖縄問題と同様に着地点も考えず、寝た子をおこす様な愚をまた民主党は演じている様である。

政権が変わったので民主的手続きを重視し、そのために外交・国防も見直したい鳩山政権であろうが、普天間で明らかになった様に、着地点も見据えず闇雲にポピュリズムに突き進む子供じみた政治はいい加減やめにして欲しい。

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