海兵隊の運用
私の事務用デスクには世界地図が貼ってある。私は時々それを見ては、まだ行った事のない国の事を想像したり、新大関バルトの出身国がどこにあるのか確認したりする。閑にまかせて、つらつらその地図を眺めていると、中国や朝鮮半島の外縁に、まるで大陸に対する盾が存在する様に日本列島が伸展している事がわかる。東西冷戦時代には我が国が、ソ連・中共・北鮮共産主義に対する西側の不沈空母であった事が、位置関係から明らかであったとあらためて目を見開かされる。
さて社民党などは今だに声高に米海兵隊のグアムまでの後退を叫んでいるが、グアムやサイパンが南西諸島・沖縄・台湾・フィリピンなど中国を包囲する島嶼の弧からいかにセット・バックしているのか、机上の地図を見ているとこの事実に気づく。おりしも海洋国家として大陸棚の権利を主張し始め、この地域での露骨な軍事的パフォーマンスを中国が演じてさなか、グアム・サイパンラインまで米軍のプレゼンスを後退させる事が、いかに危険なサインを中国に送るかなどとは、彼らは考えないのであろう。
有事に米海兵隊が部隊を展開させる必要要件は、①地上兵力②航空支援③訓練施設④武器弾薬備蓄・輸送などが一体運用できる事であるとされている。鳩山政権が考えている普天間移設代替案では、一朝有事があった際に、訓練地や常駐地から沖縄までの長距離を、大型輸送機で兵隊や武器弾薬を運び、またそれらをトラックなどに積み替えて倉庫やヘリコプターの常駐する他の基地まで運ぶつもりなのであろうか。ロジスティックという点から見ると、どう考えてもこれは非効率な運用に思えるし、有事に到底対応できないのは、素人が考えてもわかるというものだ。
自民党政権とは違うというパフォーマンスを示したいばかりに、辺野古沖案を見直すと格好をつけた鳩山政権だが、まず沖縄や九州の代替地の了解を取り付けられるのか、仮に地元に飴をばらまいてなんらかの進展を得ても、米軍がそんな案に承諾する可能性があるのだろうか。メディアは沖縄が基地経済に深く依存している現状や、この問題で騒いでいるのは本土のプロ活動家であると云う事実を、きれい事で口をぬぐっているが本当にそれで良いのだろうか。
そもそも私が以前駐在していたシアトル近郊には、ブレマートン(海軍)、フォートルイス(空軍)と米軍の大きな戦略基地があったが、この周辺は基地経済で潤っていたもので、基地経済に依存するのがそんなに”悪”で恥いる事なのであろうか?平和の礎としてどうどうと見返りを貰い、基地経済をエンジョイする事はタブーなのか? さて、この大騒ぎで一体誰がメリットを得るのか、寝た子をおこした鳩山政権は誠に罪深いといえよう。
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