恐怖のシナリオ
60歳で会社を退職した後、一体いくらお金が必要かと云う記事が、ある大銀行から送られてきた冊子にある。それによるとゆとりある老後を過ごすためには資金が1億円必要とあり、そのために退職金などの資産の運用を考えなさいとしている。その記事によると、60歳夫婦の平均余命は22年余だそうで、ゆとりある生活をするのは月38万円は必要だから 22年x12ヶ月x38万円=なんと1億円なのだそうである。
しかしこの記事は驚くべき事に、公的年金が入ってくる事に一切触れていない。厚生年金と老齢年金を貰えば、この間に約4000万円の収入がある。また夫婦二人で本当に必要なお金は毎月23万円だそうだが、75歳を過ぎたら車も買い替えないだろうし海外旅行にも頻繁には行かないだろう。なので前提においた余裕ある毎月の必要経費などと云う前提はせいぜい75才までで、その後は23万円ベースしか体が動かないと割り切れば良い。
そもそも毎月38万円の生活は年間456万円ベースと云う事になるが、家のローン・子供の学費や食費がなく、税・保険などで若者より優遇されている老齢世代にとって、この金額を子育て中の所帯と比べた時、実質的な価値はもっとずっと高いものになるだろう。こうなると、ゆとりある生活の為に月38万円必要という前提も、もう一度吟味した方が良い様だ。この様に考えていけば、年金を受け取り一定の退職金があれば60歳以後、資産の運用などとまなじり上げて頑張る必要もないのではないか?
どうも金融機関は恐怖のシナリオを作成しては、資産の運用を奨めたいらしい。しかしわが国はもうデフレにどっぷり浸かっているので、下手にリスクをとって運用するより、貯金でもしておいた方が当面は良い。その一方、国家の財政破綻も真剣に懸念されていて、その時はハイパー・インフレというシナリオだってありうる。海外投資を見れば、カントリーリスクに為替リスク、なにより国際的な投機マネーは世界を廻っているから、あちらのくしゃみで思わぬ風邪を我々がひいてしまうのは、リーマンショックやらドバイショックで痛い目にあったとおり。投資だ運用だと云っても、何がどうなるのか、実際問題だれも分からないというのが実情じゃあないか。
ならば金融機関やら何とかプランナーだかの恐怖のシナリオなどに踊らされず、目先楽しく生きて行きましょう、うんと消費して楽しみましょうと、老人の消費を促すキャンペーンでも国が率先してやったらどうだろう。老人が一大消費者になれば景気はあっという間に良くなり、わが国経済は成長し、増税も少なくてすんで一石何鳥、皆がニコニコにもなると思うのだが・・・・。
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