メタンハイドレート
数年前にベストセラーになった、フランク・シェッツング(独)のSF小説 「 深海のイール 」は、海の中にいる大量のゴカイが、海底のメタンハイドレート層を食い破って大陸斜面の大規模な崩壊を引き起こす事件が物語の冒頭に出てくるのだが、私はメタンハイドレートなる資源が大陸棚に広く埋蔵されている事をこの小説で初めて知った。
23日の日経新聞ではそのメタンハイドレートが近年、石油やガス以上に資源として高い関心を集めていると特集されている。メタンハイドレートは、メタンが海底などの低温・高圧下で水分子に閉じ込められた氷状の結晶だそうで、CO2が少ないなどの優れた性質をもつとされている。嬉しい事には日本近海にはこのメタンハイドレートが大量に存在しており、将来は資源・エネルギー不足解決に大いに役立つ可能性があると云う。
国際海洋条約で認められた日本の排他的経済水域(EEZ)は、450万平方キロで国土の10倍以上、中国のEEZの5倍にも及び、その日本の水域内にはマンガンやコバルトなどレアメタルの鉱床も豊富らしい。資源が乏しい事で加工貿易をなりわいとして来た日本であるが、子供達や孫の代に日本は一大資源国になっているのかもしれない。その頃は日本の人口もかなり減っているのだろうから、日本はこれら資源で得た外貨で国民の税金も安くてなり、住み良い国になっているだろうか。そうなれば100年後は勤勉と言われた日本人の国民性も変わっているかと、新資源を前にいろいろ夢を見るのも面白い。
閑話休題(それはさておき)メタンハイドレートの事を調べると、その採掘には技術的な問題もまだ多く、場合によっては海底の地下構造の崩壊も予想されるとある。「深海のイール」ではメタンハイドレート層の崩壊により、ヨーロッパが大津波に襲われるのだが、そのプロットは科学に基づいて実に良くできているものだと、改めてSF作家の着想に瞠目したのであった。
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