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2010年2月 9日 (火)

早春賦

陽が一日一日と伸びていくこの頃、今日は東京地方もかなり暖かいが、この後もまだ寒い日がやって来る事だろう。男の癖に冷え症の私には、本格的な春の到来が待ち遠しいさなか、知らずに口ずさんでいるのが、唱歌”早春賦”だ。この歌は中田章作曲、吉丸 一昌作詞で大正2年に発表されたそうで、作詞者・吉丸 一昌はドイツ民謡に「 故郷を離るる歌 」の ” 園の小百合 撫子 垣根の千草 ”という有名な歌詞をつけた人である。

「 故郷を離るる歌 」2番の ” つくし摘みし岡辺よ 社の森よ 小鮒釣りし小川よ 柳の土手よ 別るる我を 憐れと見よ ”という下りは、翌年に発表された高野辰之作詞の名曲「朧月夜」の " 里わの火影(ほかげ)も、森の色も、田中の小路をたどる人も、蛙(かはづ)のなくねも、かねの音も、さながら霞める朧月夜 "という詩にも似て、シンプルに情景を描写する事が歌の中心なのだが、叙情があふれたリリカルな詩は、田園風景を描きながら我々の原体験を思い出させる名歌詞だなと感心する。

そんな吉田一昌の早春賦は「 第一に歌詞がいい。本格的な春の訪れをまちわびている人々の気持ちがよく現れており・・・」「 曲も豁達でのびのびと歌いやすく出来ており、よく歌詞にマッチしている 」と 金田一春彦・安西愛子編 「 日本の唱歌 」 (講談社文庫)に評されている。この季節が終わると、次はその「朧月夜」の季節になるわけで、何という事がなくても、身が軽くなり心が浮き浮きしてくるのである。

早春賦
春は名のみの 風の寒さや 谷の鶯 歌は思えど 時にあらずと 声も立てず 時にあらずと 声も立てず

氷融け去り葦は角ぐむ さては時ぞと思うあやにく 今日も昨日も雪の空 今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば知らでありしを 聞けば急かるる胸の思いを いかにせよとのこの頃か いかにせよとの この頃か

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