ブリティッシュ・ウェイ
”Good Morning, Ladies and Gentlemen ”特にGoodの部分に力を入れたイギリス人船長の船内アナウンスで、目が覚める船上の一週間である。米語に比べると私にはどうも聞き取り難い英国系イングリッシュの中で、キャプテンの英語は滑舌も良くほとんど声が口にこもらない。その上大きな声でゆっくり喋るその内容は、その日の気象・海象、航海プランの他、寄港地の様子や船内イベントなどの紹介も交えとても丁寧で聞きやすい。何より「 私が、皆さんの安全航海について全責任を負います 」という気概がその力強い声から聞こえて来るようで、大英帝国のキャプテンがコマンドする船なのだな、と乗っている方も安心を覚える。
キャプテンと言えば、以前オスロからロンドン・ヒースロー空港行きのブリティッシュ・エアウェイズの機長の事を思い出した。その日、搭乗客はすでにゲート付近に集まっていたのだが、ヒースロー周辺の気象が悪化しエア・トラフィック・コントロールが行われた為、そのフライトは急遽オスロで出発を見合わせる事になった。その時、搭乗ゲートが開いてキャプテンがコクピットから待合室の乗客の前に姿を現し、ヒースロー近辺の状況や管制の模様を詳しく搭乗客に説明しだしたのである。その内容すべてを私は理解できたわけではないが、日本の交通機関にありがちな「ただいま調査中ですので云々・・・」の紋切り調の説明でなく、具体的かつ彼が知りえる予定を細大漏らさず発表し、最後に「皆さん、何か質問はありませんか?」と数人の客からの質問に丁寧に答えていた姿は、これがイギリスの機長かと感心した。
世界に冠たる大英帝国フリートの隆盛も今は昔、船籍港がロンドンかつオフィサーがイギリス人の外航船舶等は世界的に少なくなってしまったが、あのブリティッシュ・エアウェイズの機長然り、この”パシフィック・ドーン”号の船長然り、彼らの説得力あふれる力強いスピーチを聞くと、国際輸送の分野で世界標準を確立し、永い間リーダーであった英国の誇りや伝統が生きている気がするのである。
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