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2010年2月20日 (土)

北の東

クルーズ船から降りブリスベーンのホテルに一泊して、あす日本に帰る。ホテルのバスタブに入ると、まだ水面が揺れている様で、今日はクルーズの余韻が身体に残っている様でもある。船上でも見かけたが、ここブリスベーンでもオージーの間では日本の漢字をプリントしたTシャツがはやっていて、”富士山”とか”大阪”とか地名をプリントしたものから、”愛・夢・力”などの漢字がプリントされているTシャツもある。

実は、船の中で”宿業”と背中に大きくプリントしたTシャツを着ている結構よい年をした男の人がいて、ビュフェの列でずっと私の前に立っているので、よせば良いのに「その意味知っている?」とおせっかいな声をかけてしまった。なにせクルーズ船は一度乗ったら、船上では皆ファミリーになると言われているので、つい親近感が沸いてしまって余計な事をしてしまうのかもしれない。彼の答えはもちろん「NO」なので、「SOMETHING SPECIAL WITH THE BUDDHIM TERMS」などと、列に並ぶ前に飲んだ食前酒の勢いを借りて思いついたままかなり適当な事、それもマイナスイメージの事をしゃべったのだが、後から考えるとせっかく人が慶んで着てきたTシャツにケチをつけたみたいで、穴があったら入りたくなり、以後船上でその人と会わない事を願う様になった。

しかしこのいい加減な日本語プリントTシャツは本当に当地では良く出回っている様で、「主権の芸術」とか「自己を調整しなさい」などとプリントされたTシャツをどうどう着ている若者を、今日も町でみかけた。おいおい、もしそれを言うなら「芸術の主権」の方がまだ意味わかるぜなどと一人つぶやくのだが、「自己を調整しなさい」はどうしたって「自己に挑戦しなさい」なのだろうと笑ってしまう。その他本日の傑作としては「北の東」というのがあったが、これは北東か、もしかしたら最近オージーに人気のある東北地方などから連想しプリントされたのかもしれない。いずれにしても言葉の適否がわからずロゴだけプリントされたTシャツは、着ている本人は芸術的と思っているだろうが、こちらからはひどく滑稽に見えるものである。

しかし翻ってみると、我々日本人が町で着ているTシャツには随分怪しげな英語がプリントされているようで、きっと英語圏の人たちが日本の繁華街で若者を見ると、プッと噴き出しているのかなとも案ずるのである。しかしそう難しい事を考えず、そうやって何となく文化の垣根を低くして、まずは形から入っていけば、そのうち10人に1人でも異文化に興味を持つ様になって、それはそれで良いのかな?などとも思うのである。

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