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2010年2月 3日 (水)

日本人の英知

東海道新幹線の東京駅八重洲中央改札口を入った場所の壁面に、一枚の目立たぬプラクが埋め込まれている。それには 「 この新幹線は日本国民の英知によって完成した 」と記されている。私はここを通る度に、新幹線と云う乗り物を作った我々の先輩世代に、深い敬意の念を抱く。新幹線が工事中の1960年代初めは、航空機やモータリゼーションが急激に発達をし始めた頃で、鉄道は時代遅れの乗り物と世界的に思われていたのである。しかし新幹線の成功が嚆矢となって、ヨーロッパやアジア各地で高速鉄道が実現し、今やアメリカでも高速鉄道網計画が具体化する時代になった。高速鉄道の有効性を世界中に認識させた新幹線は、まさに当時の日本人の英知のたまものであると感心するのである。

なにより新幹線の優れた点は、開業以来45年間乗客の死傷事故がない事に加え、一日300本以上の列車が最短3分という間隔で運行され、遅延は平均で1分以内であるという驚異的な定時性だと思うのである。西欧から出張して来る外国人を連れて国内を案内する際、私はよく新幹線を利用するのだが、例えば山陽新幹線の福山駅で列車を待つ間に、うなりをあげて通過する「のぞみ」の疾走する姿を彼らに見せると、一様に驚きの声を上げるのである。その瞬間、日本人が自分達の力でこの技術やシステムを開発した事を、私は誇らしく感じる。

さてその新幹線で、今回パンタグラフを整備した際に、4本のボルトを付け忘れたため、架線(補助吊架線)が切断され停電事故が起きてしまった。パンタグラフの整備・交換のマニュアルが充分ではないとの報道がされているが、交通機関の部品の欠落やねじの締め忘れは、しばしば重大な事態を引き起こす。この点で思い出すのは、1990年にブリティッシュ・エアウエイズのBAC 1-11が操縦席の窓を交換した際、誤ったボルトで窓を固定した為、上空でガラスが破壊され機長が機外に吸い出されるという恐ろしい事故の事であるが、高速で移動する乗り物の部品交換や整備には、特別に慎重な手順を期して欲しいものである。

一般に整備などの後には、しばしば部品のつけ忘れなどがおこりがちなので、卑近な例ではあるが、私も自分のクルマのオイル交換のときは、工場から出てきたクルマのオイルパンのネジが緩んでいないか、オイル量を計測するゲージが正しく再装着されているのか、自分の目で確認する事にしている。大量高速輸送機関である新幹線では、4本のボルトが確実に固定されないとパンタグラフを上げ下げできなくするなど、フール・プルーフ思想によるハードが導入されていないのだろうか? あるいは4本のボルトが締め上げられるまでは「手歯止め使用中」の札の様な、原始的なサインが掲示される方が効果的なのだろうか? 整備の事は良く判らぬが、新幹線が一から体制を見直し、このまま重大事故ゼロの記録を伸ばし、世界に冠たるシンカンセンの名声をますます高めて欲しいと思っている。

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