第九演奏会
ついこの前ウイーンからの衛星中継で、ウイーンフィルの新年のワルツを聞いたかと思っていたら、町ははや恒例の第九の季節になってしまった。何でも年末に第九をこれほど演奏するのはわが国だけの習慣らしいが、それはそれ、お約束の行事なので今年は久しぶりに第九の演奏会に妻と出かける。場所は池袋の東京芸術劇場、日フィルに錦織 健ら豪華歌手陣、東京音楽大学の合唱というラインナップが楽しみだ。おまけに当日、最初に演奏されるのがハイドンのトランペット協奏曲という夫婦揃って好きな曲なのはなおさら良い。
夕方、珍しく忙しくなった仕事を切り上げ池袋に駆けつけるが、駅のラッシュアワーの人の多さにびっくりしつつ、久しぶりの東京芸術劇場に辿りつく。それにしても駅からの案内の少なさに閉口したのだが、芸術劇場はもう少しわかりやすく表示が欲しいものである。しかし何とか定刻に席に着き、久しぶりのクラシック音楽のコンサートを聞き始めると来て良かったと云う思いがしてくる。指揮者が入場して拍手がやみタクトが振り上げられる一瞬の緊張感、そこから場内に流れ出すオーケストラの調べに、演奏者と観客が次第にこん然と溶け合っていく一体感は、クラシックの演奏会独特のもの。私などは演奏が始まってピアニッシモの部分になると、喉がむず痒くなって咳がでそうになったりするのだが、今年はインフルエンザの大流行も抑えられて、この季節特有の咳で苦しそうな人も少ないのも良い。
さて当夜の指揮者の広上淳一氏は、弦楽器のフォルテの部分で彼の気合の唸りが客席まで聞こえてくるパーフォーマンス。丁度マウンドで投げるたび”ほいさ”とか””どうだ”と気合を入れているピッチャーとか、卓球の愛ちゃんの”サー”ばりなのだが、スポーツを観戦に来ているのでないっつーのと首をかしげる。彼の気合の入れ方は賛否両論だろうが、私は空調設備の一部でも壊れたかと思って驚いたのであった。何でも日フィルの先輩の小林研一もそう云うパーフォーマンスをするそうなので、これを目当ての聴衆もいるのだろうか?
それはさておき総勢200数名の東京音楽大学の学生の合唱はさすが大迫力、年末の恒例演奏を楽しんだのだった。それにしてもフル編成のオーケストラと大合唱をこうして聴けるのは、何とぜいたくな事だろうかという思いがする。ここに出てくるまでの演奏者の才能と多くの努力、それにこれまでに費やされたお金と時間をこの一瞬に味わえるのである。クラシック音楽は、やはり総合芸術だなと感慨を深めて家路を急いだのであった。
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