ノスタルジー
先週はボーイング787の初飛行の模様がテレビから放映されていた。初飛行はエバレットのペイン・フィールドから飛び立ち、シアトルのボーイングフィールドに着陸したのだが、離着陸の画面の中で滑走路の向こうに杉木立などが映っていると、ああアメリカのNORTH PACIFICの景色だなとシアトル郊外に住んでいた時代が懐かしくなる。
そういえば787が離陸したペイン・フィールドは、以前住んでいた家から405号というフリーウエイを15マイルほど北西にまっすぐ突き進んだ所にあった。405号はやがてマキルテオ・スピードウエイという名前になって、右側にボーイング社の工場が見えてくるのだが、その工場の中の空港がペイン・フィールドだったと記憶の糸をたぐりだす。その滑走路が見えるモールに、あの近辺では一番おいしいと言われていたてんぷらの”佐久間”という店があり、最初はたしか近所のゴルフ場の帰り道に、土地の顔役みたいな人に連れていってもらったのだったが、アメリカには珍しいパリっと揚がったテンプラはうまかった。そんな思いをかみしめていると、ペイン・フィールドの西にあるハーバー・ポイントゴルフ場を思い出し、あそこは距離があって複雑で閉口した事などと様々な場面がチェーンの様に脳裏に蘇る。ゴルフ場から見るピュージェットサウンド(湾)の夕陽の眺めは素晴らしかったのだが、島流しの様な一人駐在員事務所でルーティンワークも特段なく、こんな所で夕陽をみながら俺はなんでゴルフをしているのだろうか、などという往時の感傷まで蘇り胸がキュンとなる。
787が数時間の初飛行を終えて降り立ったボーイング・フィールドはシアトル市街地のすぐ南にあって、ボーイング社の試験飛行機などが高層ビルの西側をかすめて着陸する姿が事務所から良く見えたものだった。そういえばここで開かれたエアーショーに、空軍で戦闘機に乗っていた退役将校に連れて行ってもらった事があった。軍用機が展示されているところで彼が係りの現役軍人に何かささやくと、その係りの言葉遣いがさっと変わり「イエス・サー」になるのだが、その時の彼のちょっと自慢そうだった顔が懐かしい。洋の東西を問わず退役しても先輩は偉いんだ、と妙なところで感心したものである。
ボーイング787の初飛行の映像をみていると、鮮やかな場面が次々と目に浮かぶのだが、あれからもう10数年たっている。あの時の退役将校の彼は今も元気なのか?、あちこち行った日本料理やのオヤジやおかみさん、世話になったアメリカ人や現地の日本人の人達はどうしているのだろうなどと急に懐かしくなってきた。
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