良い夫婦の日
11月22日はいつの頃からか、ゴロあわせで 「 良い夫婦の日 」と呼ばれる様になった。で、こんな 「良い夫婦の日は何が食べたい?」と妻が言うので、すかさず「カレーライス」と私は答える。最近はレトルトでも随分美味しいカレーが売られているが、やはりカレーは家庭で作ったものに限る。小さい頃、暗くなるまで外でたっぷり遊んで来て、家に帰りつくと台所で何か良い匂いがしているので、思わず母に「今日はカレー、それともハヤシ?」と尋ね、カレーと聞くとハヤシライスよりちょっぴり嬉しかったものである。
さて、みんなが好きなカレーライスだが、元はと言えば、旧帝国海軍が英国海軍の香辛料風味のシチューを真似て作ったものが起源だと云われるている。香辛料の代わりにカレー粉で味を付け、ごはんに馴染む様に小麦粉でとろみをつけたのがカレーライスの始まりだそうで、海軍では航海中は曜日の感覚がなくなるので、金曜日に出されていたと伝えられている。私が若い頃、カリブ海航路の貨物船に研修で乗っていた時も、港に着いている日はカレーが良く出された。これは上陸したクルーがいつ船に帰って来ても、作り置きしたカレーとご飯さえあれば困らないし、コックさん達も手間が省けるからであったが、今は日本人のコックなどが乗っている商船はほとんどなくこんな習慣も廃れてしまったのだろうか。
カレーライスもそれぞれの家庭で少しづつレシピーが違うのが面白いが、我が家の特徴はなんと言っても厚切りのビーフの肉が入っている事。妻が小学校時代過ごしたブラジルは肉食の国で、そもそも薄切り肉というものがスーパーにないのでカレーと云うと厚切り肉なのである。年齢が少し離れている私は、カレーといえば透かして見れば向こう側に月が見えそうな薄切りの豚肉入りカレーが家庭の味と思っていて、わざわざ牛肉の塊を避けてカレーをご飯に盛ると、妻は「これもらうね」と言う間もなく自分の皿に肉をテンコ盛にして美味しそうにしている。
カレーは一晩おくと一層味が馴染むし、明日はコクを出すためにチコレートを一粒入れて今度はパンと共に食べようかなどと考えている、良い夫婦の日の夜長である。
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