社会保険事務所
母親が遺族年金の申請をするに当たり、とても一人では出来そうもないと言うので、準備を手伝い、申請に同行して社会保険事務所に行った。たまたま今日の東京は絶好の秋晴れ、こんな日はお年寄りも外出しやすいので、きっと混んでいる事だろう、雷雨でも来たら良いのになどという不埒な思いが頭をよぎりながら、生まれて初めて社会保険事務所のドアを開けた。事務所の中は小さな郵便局くらいの感じだろうか、申請窓口やら順番待ちのカードの機械、長椅子が並んでおり、案の定、ほとんどが初老以降と見られる多くの人が待っている。
これは一日仕事かとうんざりする間もなく、補助の職員が「 お客様、今日は何の御用ですか? 」と聞いてくる。俺達は客かい?と思いつつも来所の目的を説明すると、さっそく何種類かの記入用紙を渡され、その記入方法をマン・ツー・マンで丁寧に指導してくれる。普通、役所の窓口では申請用紙の判りにくさに苦労させられるものだが、さすが年金の役所、その指導はとても親切なのに驚く。ただ次々訪れる来訪者と職員との間では、「 以前この書類が足りないと言われたから持って来たのに、これでは駄目なのか」と云う様な会話があちこちで交わされている様である。
どうも社会保険事務所に年金の申請を来る年代の方達は、ネットで必要書類を事前にチェックしたり、電話で確かめたりせず、時間に余裕があるので徒手空拳、事務所に来てしまう人が多いと聞いており、それが混雑の一因だとも云われている。思わず「色々な人が来て大変ですね、皆さんあまり準備をしてこないのでしょうか?」と補助の職員に言葉をかけると、「そうなんです、なかなかスムースに行かない場合が多くて」と恐縮した顔で返事が返って来る。そうこうして申請用紙を準備して待つうち、思ったより早く順番が来て、男性の職員が直立不動で待つ申請窓口へ進むと、若い事務職員は口調穏やか、持参の戸籍謄本その他諸々の書類を確認し、目の前のパソコンとホストとの間でなにやらデータのやりとりをする。ほどなくこれまでの父の年金暦や金額、これからの遺族年金の受給額などが印刷されて出て来て、あっけないほど簡単に申請が終わってしまった。社会保険庁のデータベースの信頼性も、ここ数年の報道とは大違いで、とても信頼性の置ける立派なものだと拍子抜けするほどである。
一方、父が以前に加入していた国家公務員共済年金と厚生年金は、データベースシステムがまったく分かれている様だが、共済年金の申請用紙を持参して色々なアドバイスを求めると、社会保険事務所の職員は、大変親切かつ真剣にあちこち調べて、受け答えしてくれた事も付け加えたい。以前にもこのブログで指摘した通り、メディアで報じられた社会保険庁の様々な不正については、本当の不正は実はごく僅かに過ぎず、年金システムの不備から生まれた構造上の欠陥に起因するものであって、現場は加入者の為に士気も規律も高く業務に従事しているのだと感じた。
今回の厚生年金の遺族年金申請で感じた事は
- 書類を万端準備して行けば、普通は、手続き自体はそう難しいものではない事。
- メディアで報じられた、社会保険庁の怠慢や懈怠は、例によってメディアが作った嘘である事。
- 各種年金のシステムがばらばらで、データベースの相互共有が未整備という制度的かつ致命的欠陥が存在する事。
- それにも拘らず、現場の社会保険事務所は年金受給者の視線で業務を遂行している事。
- 日本にもアメリカのソシアル・セキュリティー番号の様な納税・年金の為の統一された国民背番号の制度整備が必要な事。
以上である。
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