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2009年7月 4日 (土)

成年後見人

90歳も超え老人性認知症になった父の成年後見人になった。認知症になって年老いた母一人では介護もできなくなったので、有料老人ホームへの入所が必要になったが、その入居金の工面で、父が持っていた株や投資信託など金融商品を解約する必要が出てきた。しかし今の金融機関のシステムでは、本人以外が纏まったお金を動かす事は出来ない。実はこうなる事を予感して、数年前から代理人申請を各種金融機関に出すなどを父に提案したのだが、頑迷な父に一蹴されていた。

銀行や司法書士などに相談した結果、今話題になっている成年後見制度を利用して金の工面をするのが良いという事で、半年前から準備にとりかかった。しかし準備を始めてみるとこの制度、新聞などで利用を奨めるほど簡単なものでは無い。まず一族の戸籍関係書類の取り寄せ、不動産の謄本、その他の資料取り寄せであちこちの区役所、登記所、法務局などを廻る必要がある。普通の人間では慣れぬ事も多く、資料が不十分だったり適当でなかったりで場合によっては2度3度役所に取りに行く必要もある。

ついで後見を受ける本人の財産目録を作るのだが、何しろ親子と言えども他人の資産。何がどうなっているやらさっぱり判らぬ。父の現在の株や投資信託一覧を各金融機関や証券会社に依頼しても、個人情報保護法とやらでガードが固く必要な資料の取り寄せに難儀する。さらに医師の診断書やら鑑定書を用意し東京家庭裁判所に提出する分厚い申立書を作成しただけで、期末試験でノートのコピー集めを終了したら試験が終わった様な気になった学生時代を思い出す。

さてそうして半年かけて漸く成年後見人の審判が下され登記がなされたのだが、この瞬間から父は選挙権もなくなり、印鑑証明も無効になり、いくら税金を納めていようが、社会人としての権利を失うのである。一方後見人となった私は、家裁が指定した後見監督人の弁護士の下、父の財産の善管義務を負う事になったが、これがそう簡単なものでは無い事を実感しつつある。資産目録や父の家計収支表の定期的報告、父が証券会社などと契約した各種商品の管理・記録は勿論、株の配当金の換金・記録など結構な量の事務がある。

更にこの後見人になった瞬間、仮に今まで親子間で行われていた援助や無償の便宜供与があっても、それらがすべて監視の対象になり家庭裁判所に報告しなければならなくなる様だ。例えば株主優待券などをおじいちゃんが子供や孫に配っていたとしても、おじいちゃんが被後見人になった瞬間に、それは後見人が金券ショップで換金して被後見人の口座に入金しなければならないとの事である。すべからく被後見人の資産をあらゆる可能性から守る趣旨なのはわかるが、通常の範囲の親子間の融通なども大幅に制約されてルールが一人歩きしそうである。

何よりこの半年間のペーパワーク準備や家庭裁判所・弁護士との打ち合わせなど、働き盛りの普通のサラリーマンには到底無理なほど事務量である。新聞の相談欄などには「便利な制度」としてこの制度利用を奨めているがとんでもないと言いたい。一族に遺産相続などで揉め事が起こる可能性がない様な人は、生半可な気持ちで後見人制度など利用しない方が良いと思うと言うのが今の実感。もし家族に老人がいたら、金融機関に早めに代理人届けを出す事の方をおすすめしたい。これで老人が認知症になっても当面ほとんどの事は済むはずである。

私と言えばサラリーマン生活の最後の方は、管理職で一般事務から離れていたので、これは「 そういう事で苦労しなさい」という天の配剤か、時間の自由もある程度効くので親孝行みたいなものかと思いやっているのである。

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