社会保険庁の改ざんは悪いものだったか?
6月24日夜7時半からNHKクローズアップ現代”消えた年金を取り戻す救済、記録ミス”は、年金問題のその後の経過を報道していた。それによると、厚生年金の改ざん問題を調べてきた結果、その9割が事業者側に問題があり、いわゆる社会保険庁の改ざんや怠慢な作業に起因した事例は1割だと云う事が判明したと言う。実は6月5日付け当ブログで採り上げた郷原信郎著・講談社現代新書「思考停止社会」の中でも、本件の経緯がすでに詳述されているのだが、メディアのミスリードと、桝添厚生労働大臣のバイアスがかかった見当違いの発言により、問題の核心がすっかり社会保険庁たたきと言う方向に向かってしまったのが今回の厚生年金問題らしい。
昨日のこの報道番組によると、厚生年金の未納問題は社会保険事務所の改ざんや怠慢と言うよりは、厚生年金を支払うと経営が立ちいかなくなる多くの中小企業を前に、むしろ弥縫策として弱者の味方をした行政の姿勢が事の本質であった様である。大企業や中小企業の二重構造を配慮せず労使から一律に保険料を徴収したり、滞納している事業主も年金受給権は変わらないという制度上の問題点を考慮すると、社会保険庁の多くの「改ざん」は年金受給予定者への実質的な救済を目指したものであった様である。これには厚生年金を支払えない企業をおもんばかり配慮をする事によって、厚生年金の納付率が上がるという副次的なメリットも社会保険庁側にもあったであろうが、昨年来大々的に報道されて来た、社会保険事務所に問題の大半があると云う構図での報道は、大変な間違いであった様である。
台湾に対する日本の植民地経営などで、中国共産党の宣伝の様な番組を作ってしまい批難ごうごうのNHKであるが、今回のクローズアップ現代の様に、メディア全体のセンセーショナルかつ短視眼的報道を再検証する番組をもっと多く放送して欲しいと思う。
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