アンチ・クライマー
ワシントン郊外の列車事故は立ち往生していた列車に、別の列車が追突して起きたと伝えられている。この線は自動運転で列車が接近した場合自動停止する仕組みになっていたというから、想定外の事が起こったのかシステムの故障なのか。
丁度、わが国でも国交省が福知山線の脱線事故を受け、6月22日までに側面からの衝撃に強い車体の強度基準をつくる方針を固めたという。洋の東西を問わず安全輸送の実現の為には、事故の徹底分析と安全対策が急務である。
ワシントンの事故を写真で見る限り、この両列車の先頭車の車両にアンチ・クライマーがついていたら、片方の列車がもう一方にせりあがる事もなく死傷者が少なかったのではないか、と感じた。アンチ・クライマーは電車の先頭車など運転席窓下の外板下部に金属のひさし条の突起(長さ数十センチ~1米位、高さ十センチほど)が水平に1本~数本とりつけられたもので、少し前に作られた電車や客車には良くみられた。
列車が衝突した際、車両の硬い台枠が相手車両の客室にせりあがって旅客に危害が及ぶ事があるので、台枠にこのひさし状の突起をつけて衝突車両の台枠同士が食い込む事によって、客室の保護をはかるごく簡単な装置である。ディスカバリーチャンネルで巨大システムの事故などを検証する番組を見ると、これを装着した列車の衝突実験では、せりあがりで客室が破壊される事故の対策として、効果がバツグンに様に見えた。
ただ車両が軽量化した現在は、こうしたせり上がり事故をあまり想定していないのか新型車両には典型的なアンチ・クライマーはついていない様である。今回のワシントン郊外の車両も新型のアルミ製であろうか、アンチ・クライマーらしきものは見えない。危急の際は原始的な装置が思わぬ効果を見せたりする事もままある。システムの安全に携わる人達はあらゆる可能性を検証して安全な車両・システムを構築して欲しいものである。
銀座線の先頭車両、連結器のすぐ上水平の二列のひさしの様な棒がアンチ・クライマー
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