尾花のうなぎ
ゴールデンウィークの最終日、休みにもそろそろ飽きてきた頃、同業の個人業者から電話がある。アメリカ人のお客さんが中国からの出張帰り日本に立ち寄るが、連休で相手をする人もいない。ここは一肌脱いで夕食の相手を一緒にしてくれと。
合点承知のすけ、お安い御用である。珠には英語を話さないと忘れてしまうし、グルメの同業者の驕りだ、今日も珍しいメシを”ゴチ”になれるかと二つ返事でOKするのは自分ながら浅ましい。で、どこに行く予定かその同業者に聞くと、ゲストの米国人は寿司より鰻が好きなので、南千住の鰻 「尾花」だと言う。調度良い、以前から妻に「尾花」の鰻に連れて行ってやると豪語していながら、場所的にも不便でなかなか実現してなかった所なので千載一隅。懇意な彼に「妻も連れて行く」と言って夕方からいそいそと南千住に向かったのであった。
「尾花」 は予約を一切受け付けず、仕入れた国産鰻が切れると客はそれ以上取らないという少々スノビッシュな店で、場所が常磐線の線路際と言うのも、何やら「通」らしくて格好よい。雨の中夕方5時前に皆でタクシーで駆けつけると、幾人もの客がお店の門に競うように入って行くのには少々焦ったものだが、連休中にも関わらず鰻も売り切れてなく、あまり待たされる事もなく畳敷きの大広間に通されたのであった。
大きな畳の客間では、これがあの「尾花」かと言う様な感じで皆ウキウキ飲み食いしている様に見える中、こちらも昼食も抜いて腹を空かして準備万端、久々のヨコメシと豪華な鰻を堪能したのであった。ちなみに注文したのは、一人ずつ空豆、柳川、焼き鳥、鰻の白焼き、うまき、いかだ(蒲焼)、そして〆はうな重! アメリカ人もびっくりのこのボリューム、隣の席のカップルはこちらを一瞥して「良く食べるね」と言うあきれ顔であった。
ここにその同業者と来る時は、いつも2年分くらいの鰻を食べた気がするが、家に帰って数時間経った今でも妻は、「ふっくらとおいしかったが、醤油風のうなぎたれは今は思い出したくもない」とまだ横でぶつぶつ呟いているのである。
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