ちゃんとした会社
リクルートスーツに身を包んだ、学生の姿を町のあちこちで見る時期になってきた。最近は必ずしも終身雇用の時代ではなくなった様であるが、大学を出て就職すれば普通、相当の年月をその会社で過ごすのがまだ日本の職業事情。なのでリクルート活動も真剣にもなろうと思うが、慣れぬスーツに革靴で都心を不安げに歩いている学生を見ると「がんばれよ」と声の一つもかけたくなってくる。
それにつけても、やはり学生には伝統ある大きな会社を目指せと助言したくなるのだが、それは何も給与とか世間体とかの観点からではない。最近私の職場がある都心の小さな貸しビルに、日本でも1,2位のゼネコンの直系孫会社が入居してきた。このビルには従来、私達の事務所の他には店子として小さな不動産が入っているだけで、そこの社員との接点はただ一台あるエレベーターだけの、町のどこにでもある貸しビルであった。
ところがこのゼネコンの関連会社が入ってその会社の人が大勢エレベーターを使用する様になってから、エレベーターの雰囲気がかなり変わった。この会社のほとんどの社員はシニアーで、多分親会社から定年間際で転籍して来たと見られるオヤジ達なのだが、彼らはエレベーターでは良く、他の人に軽く会釈をする、他の人を待たした様な時は「すみません」などと声を掛けて来る、乗降では人に順番を譲るなど同じビルの住人として誠に気持ちが良い。得てして日本の中年以降のオヤジは、声が大きく態度がふてぶてしいし、「すみません」とか「失礼」と言う言葉を最も発しない方の人種だと思っていたが、このエレベーターに乗ってくる定年・第二の職場オヤジは偉そうな人も、そうでない人も概して気持ちが良い対応をする。かれらの小さなマナーで、小さなビルの一台しかないエレベーターが、何となく気持ち良い乗り物になったのである。
よほどこの大手ゼネコンのこれまでの社員教育が良いのであろうか? つい、もう一つの店子である不動産屋の社員と態度を比べてしまう度に、やっぱりこういう伝統ある会社で永年鍛えられてきた人達は、気配り・目配りが違ってくるのかと、その社会性に感心しているのである。世の中には何十万もの会社があり、就職には出会いがあるだろうが、こういうマナーが自然に社員の身につく様な会社に、若い学生は就職して欲しいものである。
バルクキャリアー 2009-05-10 21:58:21
ぽんぽこりんさん、
コメントありがとうございます。 この方達に出会って以来、きっと親会社のゼネコンが作った建物も良いものなのだろうな、と思うようになりました。そういえばそのゼネコンは、今まで収賄事件などで騒がれたりする事はあまりなかった様です。
ぽんぽこりん 2009-05-10 18:05:16
バルクキャリアーさん おじゃまします。
今回のお話に出てきた会社の方は、人と人との接点の大切さをきちんと
分かっていらっしゃるのですね。
とても素晴らしい会社だと思います。
今は就職がとても厳しい時代。
少しでも多くの若い方が、このようなきちんとした会社に出会い、就職できると
未来は明るくなるのでしょうね。
とても素敵なお話を聞かせて下さってありがとうございました。
バルクキャリアー 2009-05-10 17:47:27
ためいけさん
トイレに私物? これってオフィスビルの女性用トイレでは時々ある事ですか?絶句!
私が、女性なら誰もいない時をみはからって、干からびたお八つのオマンジュウをその上に置いときますが・・・・・・。
ためいけ 2009-05-10 15:58:10
会社のビルの同じフロア。
隣には不動産関連の会社がありました。社員全体が若く(あほっぽく)、察するに平均年齢も30~35歳。エレベータの中の会話や外見もあまり気持ちの良い(頭の良い)人たちには見えませんでした。女子トイレに入るといつもいる若い子たち、仕事はいつするんだ?というぐらい、化粧直しにも余念がない。髪の毛カーラーを巻いている猛者もいる。こんな会社が運用するファンドには間違っても投資したくないなあと思っていたら、破産宣告。上場企業だったけど、やっぱり駄目だったみたいです。男も女も一流とはいえない人たちでした。
ところが。
そのあとに引っ越してきた特許事務所。ここは平均年齢50歳を超える人たち。(この時期に賃料の高いあのビルに入ってくるんだから、恐るべし不況知らず。)この人たちはすごい。トイレで会っても実にさわやか。トイレから私物はなくなり(件の不動産会社のギャルたちは禁止されているにも関わらずあれこれ置いていました)、さわやか。
そこで思ったことですが、これはきちんと教えてくれる人(=大人)がいるかいないかの違いかなあと。それってやっぱりちゃんとした会社なんでしょうね。
というわけで、賛成です。
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