時刻表1000号
毎月改訂されるJTB(交通公社)の時刻表が1000号になったそうで、その記念時刻表を購入した。この時刻表の創刊は1925年4月で、先の大戦時に困難はあったものの営々と販売されてきた大ベスト・セラー誌である。
そう言えば、私は子供の頃から鉄道や地理が大好きであったから、小遣いを貯めては交通公社か鉄道弘済会の時刻表をよく買っていた。当時は今ほど鉄道趣味誌もなかったので、代わりに時刻表を眺めていたのである。小学校3年生になった頃は、東海道本線・山陽本線の駅を東京から広島くらいまで暗記していて、社会の時間などに皆の前で発表しては得意だったものである。「 東京・新橋・品川・横浜・大船・藤沢・辻堂・茅ヶ崎・・・」と静岡あたりまでは、今でもすらすらと宙で言える。(当時は川崎や戸塚は東海道線の駅ではなかった)
その後、若い貧乏サラリーマンの頃は、寝台列車の旅などをゆっくりしてみたかったのだが、先立つものも時間もなく、ただ旅情に憧れるのみであった。その代償行為か、当時はよく時刻表を購入しては、机上旅行プランを楽しんでいた。まず巻頭の全国の鉄道路線図をつらつら眺めつつ目的地を定め、そこへの往復列車や乗り換え列車を時刻表から拾いさまざまシミュレーションを行う。大体の場合、最新の列車や話題の列車に乗車できる様な日程を作るのだが、そのプランニングの最中は現実を忘れさせてくれる楽しいひとときであった。
一通り机上旅程が決まると、最寄の駅から目的地までの営業キロを算出して、普通運賃に特急料金や指定席の料金などを計算する。経済的に廻るためには、バスを使ったり「とくとく切符」や周遊券の頁を参照したり、宿泊地を変えたりして、「あーでもない、こーでもない」と考えていたのである。とにかく時刻表はいつの時にも、生活の傍らにあって、定価以上に十二分に活用させてもらったものである。
おかげで東京ー阪神間を往復する際は、西明石までの往復切符を買うと安いとか、本州と四国への連絡はJRや高速バスよりローカルのフェリーが安くて便利だとか、時刻表を繰る事で随分と恩恵を得てきた感じがする。今でも暇な時、時刻表をランダムに開き、その頁の線路の先には一体どんな旅があるだろうかと想像する。ネットの”路線案内”や”乗り換え案内”にはない、アナログな広がりがそこにはある。
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