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2009年3月 7日 (土)

Without Prejudice

今、自営業で何とか食べていけるのは、新入社員時代に会社で習った事に負う点が多いと、先に書いたとおりである。「買主注意せよ」"LET THE BUYER BEWARE"ラテン語で”CAVEAT EMPTOR"がその一つであると、昨年3月にアップした通り。

"WITHOUT PREJUDICE"も英米法では大変重要かつ便利な言い回しであると当時習った。海運では外国の船主や荷主と日常的に契約を結んでいる。これらの契約書は英語であり、準拠法は英米法、係争になった際の裁判地はロンドンである事が多い。なのでかつてはロンドンの弁護士が会社に常駐していて営業や、各種クレイム処理の指導に当たってくれていた。彼らはいずれも、オックスフォードやケンブリッジを卒業した極めて優秀な若手海事弁護士であって、ほとんどが独身だったから、良く一緒に飲みに行ったり、サッカーやスキーを楽しんだものであったが、そんな彼らにいつも指導されていたのが、少し込み入った論争の文書には”WITHOUT PREJUDICE"を「必ず」挿入しておけという事であった。極端な場合、本文が始まる前にカッコつきで(WITHOUT PREJUDICE) と書いておくだけでも有効である、と教わった。

さて最近、ある海運会社に顧問として勤務し、若手に定期的に講義を行っており、その際、 "WITHOUT PREJUDICE"の説明をしようと考えたのだが、法律の専門家でない私には、国内法や和文ではこの文言がどういう風に使われ教えられているのか判らない。よってネットで海外の法律関係のサイトを検索していた処、カナダの弁護士の良い解説を発見した。

いわく
Without Prejudice:A reservation made on a statement or an offer that is not an admission or cannot otherwise be used against the issuing party in future dealings or litigation with any determinative legal effect.

要は 「法的な当事者間のやり取りの中で、以後の論争に許可(譲歩)を意味したり、その他の目的に利用できない(性質の)、限定的留保条件」 とでも訳したら良いであろう。すなわち様々な交渉の過程でデッドロックに陥った場合、「とりあえず事態解決の為に、こういう妥協法、解決法を提示します。ただしこの事をもって自分の非を認めたり、相手の免責を許容する訳ではありませんよ」 という場合に使われる事が多いようだ。このサイトには、19世紀からのこの文言を巡る判例がいくつか示されているが、おおまかに括ると、この文言は 「乱発」 しても良い、のちのち裁判になった際Without Prejudiceと書かれていれば、一旦提示したこちらの条件が妥協や合意を示したものではない、と考えられる性質の留保条件である、と言う事である。

なので海外とのdisputeの際、何か提案したい事があったら、まず”WITHOUT PREJUDICE"を文章に挿入し自案を提示する事が望ましい。それが合意に至らなくても、この文言を付与した場合、決してその提案をした範囲までは妥協していた、とは後で看做されないからである。(ただ米国の一部の州ではこの効力がない、という判例もあるらしい)

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