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2009年1月13日 (火)

軍艦マーチのお仕事

20090113

今朝は進水式に参列した。九州地方は雪の予報もあったが、今朝は幸い寒いものの青空の進水日和になった。小型の外航船だが、この後、艤装岸壁で150トンものプラントや重量物を積めるクレーンを装着し、3月に竣工の暁には極東から世界の海に旅立ってくれるだろう。

それにしても何回参列しても進水式は良いものであるとともに、緊張の一瞬である。これまでに支綱が切断されシャンパンが船首で砕け、くす球が割れても船が海に向かって滑らなかった船もあった。直前の台風による塩害で、進水台に思わぬ錆が付いていたのが原因らしいが、この時は後部からタグボートで必死に引っ張っても船はびくともしなかったものである。来賓の方達の「何か変だな?」と言う顔と造船所の所長のばつの悪そうな顔を思い出す。

建造中の船は、進水式の直前には必要な支柱もはずされ、大変微妙な状態で船台にのっている。支綱切断と同時に、何万トンもの巨大な鉄のかたまりである船が海に向かってうまく滑り出すか、かつては進水したと思ったら船が横倒しになったり、沈んだりした事もあったそうである。その他支綱を切断する前に船が滑り始めたりと、進水式にハプニングはつきもの、無事滑り降りてくれるのか、いつもハラハラの一瞬だが、今日は幸い支綱切断と同時に軍艦マーチの音楽とともに、船は初春の豊後水道に滑らかに降りてくれた。

私も、もうサラリーマンではなく、コンプライアンスなども余り気にする事もなくなった。以前から一度進水式を見てみたいと言っていた妻を連れて行った処、「ひとつのプロダクトの門出を関係者がこれだけ祝すことはあまりないのでは。船は幸せものだ」という感想。また、祝辞で「宝船」という言葉が煩雑に使われるのを聞いたが、演歌の世界の言葉を、実際に皆が使うのはとても新鮮だとの事。もちろん甲板まで約15メートル、長さ200メートル近い建造物がするする海に向かって滑走するさまは他に例えようがないと思ってくれたようである。

それにしても、軍艦マーチでお仕事が盛り上がるのは、海上自衛隊以外はパチンコ屋さんと造船所くらいだろうか。

Bulkcarrier 2009-01-18 23:14:40
ぽんぽこりんさん

今回、初めて進水式を経験した妻は、「まだ演歌みたいな式典や接待があってびっくりした」と言っていました。海外の船主も日本式の進水式に参加すると、感激する様です。時代が変わってもこの伝統は良いものだと思っています。航空機の引渡しセレモニーも興味ありますが、日本のエアーラインへの納入はシアトルの神主さんが祝詞をあげるのでしょうか?


ぽんぽこりん 2009-01-18 15:23:11
Bulkcarrierさん こんにちは

進水式などを見たことがない私にはとても興味深く読ませていただきました。
滑り出さなかったことや勝手に滑り出したことなどを読んでいて、そんな事もあるのかと面白く読ませていただきました。
もちろん、主催者の方はそれどころではなかったと想像できますが・・。

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