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2008年6月 3日 (火)

ぶっちぎり

ランナーの憧れは、スタートからゴールまで一度も先頭を譲る事なく、試合に勝つ事である。これは駆け引きで勝つのではなく、圧倒的な強さの証明になるからだ。私がこの思いを強く持つ様になったのは、ロン・クラークという豪州の選手のレースぶりを知ったからだった。

ロンクラークは60年代半ばに活躍した長身の長距離ランナーで、3マイル、5000米、6マイル、10000米などの世界記録を17回も破っている。どのレースもスタートからトップを走り、そのままゴールまでその位置を譲らないレースを身上としていた。のち実業界で成功を収め、現在は日本人もお馴染みの、豪州ゴールドコースト市の市長を勤めている。上半身があまり前傾しないため長身がより大きく見えたその走りは、東京オリンピック直後に、陸上競技を始めたばかりの私にとって憧れの人であった。

記録的には圧倒的な強さを誇ったクラークだが、英連邦大会やオリンピックなどの大きな試合では一度も優勝できなかった。東京オリンピックの10000米決勝では残り一周でチュニジアのガムーディとアメリカのミルズにかわされ3位に終わっている。なぜ勝てなかったかと言うと、スプリント力がなく400米が54秒もかかる為と言う。大きなレースでは実力のある選手につかれ、最後のスプリント勝負になるとどうしても適わないのが勝てない原因だった様だ。

しかし己を信じてどんなレースでも常にトップを走るその孤高の姿は、見る者に大きな感銘を与えたランナーだった。

ランナーの端くれとして、若いときには廻りが強すぎて(私が弱すぎて?)そんなレースはしようにも出来なかったが、あと数年たって私が60歳台の部になったら、その中でこういう走りがしたいと密かに思って、相変わらずトレーニングをしている。一つの事を続け馬齢を重ねると、絶対的な体力的では若者に適うものではないが、思わぬ楽しみが待ってるものである。

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