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2008年5月31日 (土)

軽トラのオナシス

水曜日は、日帰りで愛媛県に出張。四国の船主2社といろいろ打ち合わせ。

30年ほど前、それまで内航の機帆船に家族で乗っていた瀬戸内の船主達が、外航船に進出した。これらの船主は荷物を運んで運賃を収受する運航業社(いわゆる船会社)でなく、船を所有してこれを船会社にチャーターする船主(シップオーナー)として「四国の一杯船主」と永年言われてきた。その後大手の船会社がオフバランスの観点から、所有する船舶数を減らし、船主に船舶を所有させチャーターする事が多くなり、四国船主は力をつけ大きくなってきたのだ。

地元の造船所や、シップファイナンスを熟知する地方金融機関、船に関わるもろもろ地場産業と言う基盤を持ち、近年は日本の船会社だけでなく、今治地区は世界に新造船を供給する一大海運地域に成長している。今や海外の有力船会社や金融機関は、東京を素通りして広島空港や松山空港から直接、しまなみ街道沿いにこれら船主を訪問するのである。

総資産は何百億から数千億と言われる有力船主も、地元ではごく地味な服装で、クルマといえばごく普通の国産ファミリーカー、中には軽トラックで事務所に通ってくる社長もいる。海運ブームで毎年何億も何十億円も利益を上げていようと、ほとんどの船主はその利益はフネに再投資し、四国の田舎に住んで地味で堅実な生活習慣を変えようとはしない。欧米の社交界で話題を呼んだギリシャの海運王オナシスなどと正反対の生き様である。

メルセデスなどは何台でも持てるだろうし、六本木ヒルズ位に事務所を構える事もできるのであろうが、四国の海辺で畑仕事を終えてから会社にくる様な、船主の底力に感心するのである。

それにしても東京から今治に日帰りは疲れるな~。(写真は今治市の波方(=なみかた)でここも有力船主の集まっている地区)
B

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